【iPhoneアプリ(ボドゲ)レビュー】通路(Tsuro) - 道を敷き詰めライバルを押し出せ!アジアンテイストな雰囲気が心地いい同名ボードゲームのデジタル版!
「通路(Tsuro)」は、iPhoneで配信されているデジタルボードゲームアプリ。もともとはcalliope gamesという海外のアナログゲーム制作会社が作ったボードゲームで、こちらはそのアプリ版となる。
通路というタイトルは日本用にローカライズされているわけではなくて、原題もそのまま日本語から取ってTsuroなのだ。海外の方が日本をテーマにしたゲームを作ってくれるなんて嬉しいよね。
このゲームの魅力はなんといってもそのアジアンテイストな雰囲気。パッケージに描かれた荘厳な龍のイラストから始まり、ボード上には鳳凰と思わしき鳥が神々しさを放っているし、「東西南北」や「風火水地」など筆字でそれっぽく書かれた四字熟語がたまらない。見てるとなんだか本当に昔の日本でまじないかなんかに使われていた道具に見えてくるぜ。
全体的に落ち着いたデザインだし、そのまま並べてインテリアとしてもいけそう。
実物の方は一度だけ遊んだことがあるが、アプリ版でもその雰囲気は全く損なわれておらず、むしろプレイ中にはいい感じのBGMも流してくれるおかげでさらに没入感は高められていると思ったぜ。
あとアプリとしてすごく好きなのが、ものすごくアナログ感を大切にしてくれているということ。
ゲームの始め方が「箱を開ける」っておいおい、こんなのわくわくしちゃうに決まってるじゃないですか。しかもたまにこの画面に自社製品の「Roll For It!」を紛れ込ませる茶目っ気も高く評価しておきたい。
ふたを開けるとボード、カード、ストーンが自動で取り出されセッティングまでしてくれる。科学の進歩ってすごいね。
この折りたたまれたボードが広がる瞬間が感動のピークなんですがわかる方いらっしゃるでしょうか。こんなとこまで再現してくれてるなんてアナログゲーマーは歓喜ですよ。
ルールはいたってシンプル。
まずは色とりどりのストーンの中からマイフェイバリットカラーを選ぶ。いかにも日本風の朱もいいが、俺は抹茶あんみたいで美味しそうな緑が好きだ。
選べたらボードの外周から好きなところを選んで配置しよう。
ちなみにこの通路、もともとは2〜8人用のゲームだが、デジタルの特権としてソロプレイをすることもできる。ソロの場合は勝ち負け関係なしに、盤面から落ちるまでにどれだけの距離を移動できるかを目指すスコアアタックのようなシステムで遊べるのだ。
自分の色を選んだら、次はNPCを設定するぞ。
NPCはおバカ、秀才、曲者の3タイプがあるので、自分の技量に見合うと思うやつを追加していこう。ちなみに俺はおバカといい勝負を繰り広げたことで少し落ち込んでいるぜ。
参加プレイヤーが決定したらいよいよゲームスタート!
プレイヤーはまず手札として通路の描かれたタイルを3枚ずつ配られる。
このタイルは各辺から2ヶ所ずつ道が伸びており、どういう風に置いてもきちんと通路になるようにできているのだ。
これを1枚ずつ、自分のストーンから繋がるように並べていくのが毎ターンの流れ。
通路が繋がった場合は必ず移動しなければならず、自分のターンはもちろん相手ターンに置かれたタイルであろうと通路ができれば強制移動しなければならない。
これを駆使し、自分以外の相手プレイヤー全員をボード外に追いやることができれば勝利となるのだ。
という感じで、ルールは単純だがこれがなかなかハマる!
最初はまだ勝手がわからず自滅することもあったが、慣れてくると自分は逃げ延びつつ相手を場外に落としたり、相手同士をぶつけて脱落させたりとテクニカルな動きができるようになってくる。
こうなるとさらに余裕ができてくるので、ハイスコア目当てにループ(自分の通ってきた通路を交差すること)を狙ったりとよりゲームを楽しめるようになるのだ。
そして一緒にプレイするNPCも何気に愛らしい奴らばかりだぜ。
例えばおバカNPCを選択すると、手番になるたびに「〜はぼんやりしています」「〜は子猫のことを考えています」とか出てきてこちらの精神を癒しにかかってくる。
秀才も「〜は利口ぶっています」とか言われてて笑えるし、曲者は「〜はあなたを見て笑っています」とか出てきて…いやなんだこいつムカつくな!
そしてそしてもうひとつ驚きの機能…
実はこのゲーム、AR対応である!
見てくださいこの存在感。「あれ?俺いつの間に通路買ったっけ?」となること間違いなしのこの迫力!
しかもめっちゃ寄れるんです!至近距離で見えちゃうんですよ。これもうスマホを眼鏡みたいにしたら実物持ってるのと変わらないね。
いやそれは言い過ぎたけど、こういうところに熱意をかけられるのってロマンを感じてめっちゃ好きだぜ。
問題点は対人プレイのし辛さかなぁ。
オンラインでの対戦はFacebookの連携が必須で、いわゆるランダムマッチのようなものは存在しない。
ボードゲーム仲間とFacebookで繋がってる人は問題ないが、ここ日本ではなかなかいないのではないかな…無料アプリならまだしもこれ有料アプリだしね。
一応ひとつの端末を回し待ちしてローカル対戦することもできるのだが、いかんせんテンポも悪くなってしまうのでこちらもあまり実用的ではない。
そのため、やはりみんな集まった時はアナログで、ひとりで楽しみたい時にはデジタルで、って感じの使い方がいいのかなーと個人的には思ったぜ。
アナログゲームの雰囲気を残しながらも、BGMや移動距離の計算、通った道の視覚化などデジタルの強みをしっかりと活かすことで、単なるスマホへの移植を超えた作品になっていると感じた。
対人プレイには難ありだが、これもデジタルとアナログの棲み分けと思えば個人的には納得できるかな。
なにより実物買ったら4,000円近くするところをアプリなら480円だぜ!?日本語へのローカライズも完璧だし、ボドゲ好きなら買わない手はないと思うぞ。
アジアンテイストな世界観もやっていて本当に癒されるので、雰囲気に惹かれたなら是非チェックして欲しい作品だ!