【ボードゲームレビュー】ONIRIM(オニリム) - 不思議な夢の世界に迷い込み、扉を探して旅をしよう。独特な雰囲気に癒されるソロプレイカードゲーム。
「ONIRIM(オニリム)」は、アナログゲームデザイナーであるシャディ・トーベイ氏によりデザインされ、Z-MAN gamesより発売されている1〜2人用のカードゲーム。日本での発売はHobby JAPANが担当している。
ソロプレイを基本としたカードゲームで、プレイヤーは不思議な空間に迷い込んでしまった「夢を歩くもの(ドリームウォーカー)」となり脱出のための扉を探すというストーリー。
「夢」をテーマとしているだけあって、イラストや全体の雰囲気も独特な感じ。例えば基本となる4種類のカードにはそれぞれ庭園、水族館、天文台、図書館という場面が描かれているのだが、どのイラストもいい意味でめちゃくちゃな感じになっており、まるで子供が自分の想像力に任せて描いたかのようなデザインになっているのだ。
このどこか懐かしい感じと、少しの不安定さみたいなものがオニリムというゲームの世界観を深めているひとつの要因だと思ったぜ。
ルールはとっても簡単。
用意するのはひとつの山札。これだけ。
セットになっている拡張版を追加するときにはまたセッティングは変わってくるけど、基本となる準備はここまでだ。
この山札がこれからプレイヤーを待ち受ける夢の迷宮となるわけだな。
そうしたらプレイヤーはその山札から手札として5枚を引く。これは言うなれば迷宮をどこへ進むかの選択肢、みたいな感じだろうか。
ちなみにカードには迷宮カード、扉カード、夢カードの3種類があり、ここで引く手札は全て迷宮カードじゃないといけない。もし扉や夢がきてしまったら新たに引き直し、5枚揃ったところで扉や夢を山札に戻しリシャッフルするのだ。
こうして手札を引いたらいざ迷宮探検に出発。
と、その前に勝利条件と敗北条件の確認をしよう。まずこのゲームに勝つための条件は、8つある扉カードを全て見つけること。扉カードは以下の方法で見つけることができる。
- 同じ色の迷宮カードが3枚並ぶとその色の扉カードを獲得
- 手札補充時に扉カードを引いたとき、その扉カードと同じ色の迷宮(鍵)カードが手札にあれば、それを捨てることで獲得
以上2点の方法で扉カードを集め、8つ目を見つけた瞬間にプレイヤーは元の世界へと戻ることができるのだ。
しかし逆に、扉カードを全て見つける前に山札が切れる(=迷宮がなくなってしまう)と、プレイヤーは夢の世界に囚われてしまいゲームオーバーとなってしまうぞ。
プレイヤーはまず毎ターン以下のうちどちらかの行動を行う。
- 手札から迷宮カードを1枚出して迷宮を進む
- 手札から迷宮カードを1枚捨てる
迷宮を進む場合には注意点があって、進むことができるのは前のカードとマークの違う迷宮だけということ。
例えば最初に進んだ迷宮が「太陽マークの水族館」ならば、次進むことができるのは月マークか鍵マークどちらかの迷宮だけとなる。太陽マークがついていると庭園だろうと図書館だろうと移動することはできないのだ。画像でいうと左の並べ方は大丈夫だが、右の並べ方はできないぞ。
そして出した迷宮カードは横に並べていくわけだが、上記の勝利条件で書いたように同じ色の迷宮カードが3枚並べばその場で扉カードを獲得することができる。ひとつの場所をくまなく探して扉発見!って感じだろうか。
1か2、どちらかを実行したら山札からカードを一枚引いて手札を補充する。
迷宮カードの場合はそのまま手札に加え、扉カードだった場合は同じ色の迷宮(鍵)カードを捨てることで扉カードを獲得することができるぞ。
しかし、ここでもし夢カードを引いてしまうと、プレイヤーは悪い悪夢にうなされることになる。これを回避するためには以下の行動のうちひとつを選ばなければならないのだ。
- すでに見つけた扉カードを山札に戻す
- 手札の迷宮(鍵)カードを一枚捨てる
- 山札の上から5枚を引き、その中の迷宮カードを全て捨て札にする
- 手札を全て捨て、新たに手札が迷宮カード5枚になるよう山札からカードを引く
いずれを選ぶにしても脱出から遠のいてしまうのは間違いないので、今の状況での最善をしっかり選んでいけるかが試されることになるぞ。
そしてここまでで1回の手番が終わり、また最初の1.2に戻って迷宮の探索を続けていくのだ。
言葉で説明すると少しややこしいかもしれないので実際にやってみよう!
最初の手札はこんな感じ。うーむ、運がいいとここで1セット揃ったりもするけどとりあえずはなしか。じゃあ無難に赤の天文台から行こうかな。
次のターンでは青のカードを引いて水族館が1セット揃った。よっしゃ、これで月→太陽→月と出せば水族館の扉がゲットできるぞ!と思いきや、今出ているのは月マークのためそのままでは出せない。勿体無いがここは間に一枚挟んでまた月マークを置けるようにしよう。
そうしてなんとか3枚揃えて最初の扉を発見!楽しかった水族館とお別れして次の迷宮へ進むぜ。
その後は手札の引きが良くて立て続けに天文台の扉も発見!しかもまた手札には図書館が1セット揃っているぜ。
と、浮かれていたら悪夢カードを引いてしまった!うーん、扉カード戻すのは勿体無いし手札は捨てたくないしなのでデッキの上から5枚捨て札を選ぶ。
あぁ、俺の迷宮が…でもすでに一枚扉を見つけている水族館と天文台でまだよかったな。
その後はもうびっくりするくらい順調に進む迷宮探索。いやほんとに、なかなかこんな上手くいくことないよ?今回のドリームウォーカーはなかなか夢を見る素質があるらしい。
と、ここでまた悪夢再来。今回は手札がパッとしなかったので思い切って捨ててしまうことに。おかげで図書館の扉2枚目をゲットできたぜ。
そしてまたまた運良く庭園の扉カードを引けた!手札には鍵マークの庭園カードがあるので、これを捨てて庭園の扉2枚目も発見!
あれよあれよと言ううちに水族館の扉も発見し、残るは天文台の扉1枚に!しかし太陽マークばかりでなかなか揃えることができない…もはや天文台以外はいらないのでがんがん手札を捨てていく。悪魔カードも何枚か引いてしまったがぬかりはない。全ていらない鍵カードで相殺してやったぜ!そして…
ついにきたー!
何よりも待ち望んでいた月の天文台…!宇宙の暗闇に浮かぶ天体が最高にクールだぜ…あとはこの迷宮を突破すれば…
脱出成功…!
いやー、今回はほんとにめちゃくちゃ快適な旅だったぜ。今まで何回もやってるけどこんなに上手く事はなかなかないんだほんとに。
そしてこのゲームが終わった後の盤面の綺麗さも好きなポイント!なんかステンドグラスみたいでいいよね。
今回は基本セットのみのプレイだったが、なんとなんとこのオニリムは拡張セットが7つも同梱されているという超お得仕様。さらにそれぞれの拡張は混ぜても遊べるのでいつでもバラエティ豊かな旅を提供することができるぞ。
そしてひとりが寂しくなってきたら誰かと一緒に迷宮に潜るもよしと、遊びごたえはなかなかだ。
ひとりでできる単純なゲームながらも、迷宮から迷宮、扉から扉へとちぐはぐな世界を渡っていく感覚はすごく楽しい。ほんとに雰囲気がいいとしか言いようがないので言葉にするのが難しいのだが、例えるなら小さい頃読んでもらった絵本の主人公になった気がして俺はすごく好きなゲームだぜ。
ゲーム内容的には少し単調かもしれないが、拡張は豊富だしこの独特な世界観にピンときたなら楽しめること間違いなしなので、気になった人は是非チェックしてみてほしい!