【ボードゲームレビュー】逃げゾンビ - 圧巻のコンポーネントから繰り出されるゾンビ地獄…!癖の強い住民たちの力を借りたり借りなかったりして生存を目指す王道ゾンビゲー!
逃げゾンビ
開発元 | 8th summit |
---|---|
ローカライズ | アークライト |
プレイ人数 | 1〜4人 |
プレイ時間 | 30〜60分 |
価格 | 4,800円 |
ボードゲームとゾンビ、なぜこの組み合わせは我々の心を捉えて離さないのだろうか。
今回紹介するボードゲーム「逃げゾンビ」は、圧倒的な絶望感、ぎりぎりの戦闘、癖の強いキャラクターを提供してくれる「これぞゾンビゲー!」な内容の作品だ。
俺がボードゲーム始めたて位の時に買ったゲームでもあるので、かなり思い出深い作品だぜ。
まず気になるのはやはりコンポーネント。
「逃げゾンビ」と少々安直すぎる気がしないでもないタイトルがでかでかとデザインされたパッケージを開けると…
大量のゾンビフィギュア!!
この物量ちょっとすごくないか。種類は男と女の2種類しかないものの(種類があるだけでもすごいが)、一体一体はなかなかに精密に作られているので迫力があり雰囲気バッチリ。
塗装趣味の方もしばらくは退屈せずに済みそうなその数は実に約50体!すでに物欲をガンガン満たしにかかってくるぜ。
とりあえず全部並べてみた。ここまで数があると適当に置くだけでそれっぽくなるから楽しいな。ウォーキングデッドみたいでとてもよい。
ついでにウォーキングデッド第1話のラストシーンを再現してみたぞ。戦車はなかったので我が家のメカトロウィーゴにご協力いただきました。
…えー、悪ふざけはこの辺にして早速ゲーム説明の方に移ろう。
このゲームは簡単に言うと、迫り来るゾンビを倒しながら民間人を助け、最終的にそのポイントを競うゲームである。
一応対戦ゲーという括りに入る本作だが、プレイヤー間の関与はほぼゼロ(カード山札が共通なくらい)なので、どちらかといえば個人技&ハイスコア比べという感じのシステムだ。
ゲームを始める前に、プレイヤーはまず自分自身の分身となるキャラクターを選ぶ。
キャラクターには「プロムの女王」や「スポーツマン」などいかにもアメリカンな匂いのする奴らが揃っているので、こいつになら自分の背中を任せられるぜ!と思うキャラクターを選ぼう。
セッティングが完了した図。ゾンビコマのいるプレイボードは手前から第1ゾーン、第2ゾーン、第3ゾーンと分かれており、距離の遠い第3ゾーンから毎ターン徐々に近づいてくるという緊張感溢れるシステムだ。
ルールは案外シンプル。
プレイヤーは毎ターンのはじめにイベントダイス1つとアクションダイスを5つ振り、出た出目に応じてそのターンの行動を行う。
例えばイベントダイスには、後のフェイズで行うゾンビ増殖を防ぐことができる全く静かや、逆にゾンビをさらに増やしてしまうゾンビの目覚め、体力の回復ができる看護など、ゲームを進めていく上で重要なイベントが詰まっている。
プレイヤーはまずはじめにこのイベントダイスの効果を解決し、次にアクションダイスを使って行動をしていくのだ。
アクションダイスには、第1ゾーンにいるゾンビを2体まで倒すことのできるバットや、1体までだが遠くの敵に攻撃できる拳銃、出た出目の数によって効果が変わる探索、ネクロノミコンなど多彩な効果が揃っている。もちろんいい効果だけでなく、出目一つにつきゾンビが1体増えてしまうゾンビなどの悪い効果もあるので注意が必要だ。
また、アクションダイスは毎ターン2回まで振り直しのチャンスが与えられるため、「第1ゾーンまでゾンビが迫っているからバットがたくさん欲しい!」という時などは活用していこう。
ただしゾンビの出目はただで振り直すことはできず、別に逃走カードというものを引いてその効果を解決した後でないと振り直し対象に選ぶことはできないぞ。
そして時には逃走カードからボスゾンビが出現してしまうことも…
基本的にゾンビコマの振り直しはよりリスキーであることが多いため、使うタイミングは慎重に選ぶ必要があるな。
前述のアクションなどで手に入る場所カード、アイテムカード、そして住民カードも重要な役割を持つ。
場所カードは基本的に手に入れた瞬間か次のターンのはじめに効果の解決を行う。いい効果ばかりとは限らないが、アイテムカードを引けたりイベントが起こったりするので積極的に活用していきたいカードだ。
アイテムカードはその名の通り、絶体絶命のサバイバルを手助けしてくれる心強い味方。
自分の体力を回復できたり、アクションダイスのバットや拳銃の効果を強化したりと基本的に良い効果しかないので、ガンガン手に入れてガンガン使っていきたいカードだな。
そして住民カードはこのゲームのキモともいえる超重要なカード。
探索、ネクロノミコンのアクションで仲間にすることができる他、イベントや場所カードの効果によってもパーティに加えることができる。
最初に選んだプレイヤーキャラクターもなかなかにキャラが立っていたが、住民カードの連中はまた一味違うぜ。
俺が特に気に入っているのはこの2人。見るからにやべーやつなイカレ幼女とアンジェリーナ・ジョリー似の美女。「態度がでかいイイ女」っていう洋画あるあるをそのまま名前にする潔さに脱帽だぜ。
こいつらはそれぞれ特性とメリット能力、デメリット能力を持っている他、左上の数値がそのまま勝敗決定のためのポイントとなる。
なのでゲーム終了時までになるべく多くの住民を助けた方がいいということだな。
しかしここで悩ましい問題が立ちはだかる。
それはデメリット能力持ち、つまり足手まといほどポイントが高いということだ。
例えば上の画像では、こちらのダメージを肩代わりしてくれるタフガイのポイントはたったの2だが、振り直しを行えなくする嫌われ者の議員はなんと6ポイントも得ることができる。
しかしいくらポイントがあっても死んでしまったら意味がないので、生存とポイント獲得を絶妙なラインで保つバランス感覚が重要になってくるのだ。
そんな感じでアクションフェイズを終えたら、次はゾンビ移動フェイズと続き、各ゾーンにいるゾンビが一斉に一つ手前のゾーンまで侵攻してくる。
第3、第2ゾーンにいるゾンビはそれぞれ第2、第1ゾーンへ、そして第1ゾーンにゾンビがいた場合、プレイヤーはその人数分ダメージを受けてしまうのだ。
その後はさらにゾンビ増殖フェイズと続き、第3ゾーンに3体+ゾンビ出目の数などの分だけゾンビが追加される。
そしてここまでで1ターンが終了し、次の出番プレイヤーへとターンが移っていくぞ。
これをいくつかある終了条件を満たすまで行い、最終的に一番ポイントを稼いだ生存者がこのゲームの勝者となるのだ!
と、ルールはこんな感じ。
いやー、実際にやってみるとこれがなかなか難しい!アクションダイスの出目や振り直しに悩むのはもちろん、アイテムや住民カードの効果も色々あるから考えることがたくさんだぜ。
ゾンビも毎ターン容赦無く湧いてくるのでその処理だけでてんやわんや、慣れないうちは生き残るのに精一杯で全く住民が集められず、最終的に勝者が4ポイントとかの世界で笑った。
でも慣れて立ち回りがわかってくると、1ターンで7体くらいのゾンビを倒せたり、もう絶対絶命だろ!って状況からでも立て直せたりでかなり楽しいのだ。できる行動が色々あるゆえに、かなり悪い状況でも突破口を見つけられた時の気持ちよさは筆舌に尽くしがたいな。
プレイヤー間の絡みが少ないのはちょっと寂しいと感じるかもしれないが、プレイしていると他人のボード状況でも一喜一憂できて面白いぜ。
ボードゲーム ×ゾンビという王道の組み合わせが高いレベルで実現されており、わかりやすいルールながらしっかりとその醍醐味を味わうことのできる良作ボードゲーム 。
なによりコンポーネントのゾンビといい登場キャラの濃さといい、世界観がきちんと用意されているので誰でもすぐに洋画のような世界に入り込むことができるのが嬉しいな。
プレイ時間もそれほどかからないので、ボドゲに興味を持ち始めた方やゾンビゲーに目がない方には是非オススメしたい作品だ。1人プレイもできるしね!